東京都が「018サポート」誤送付事故&オンライン申請の改善提案

プロジェクトオーガナイザの吉田聖書よしだみふみです。

9月19日に東京都福祉局がプレスリリースを出しまして、「018サポート」の案内チラシを対象外の人にも誤って送付したと発表しました。

018サポートの案内チラシの誤送付について(2023/9/19 東京都福祉局)

この「018サポート」っていうのは私も知らなかったんでけれども、「都内に在住する18歳以下の子供に対して1人当たり月額5,000円を支給する事業」のことです。0歳から18歳が対象なので「018」なんでしょうね。我が家にも案内が送られてきたんですけれども、そもそもこの事業を知らなかったのでかなり唐突感がありました。

プレスリリースによると、東京都から転出して既に都内に住んでいない人にも案内チラシが郵送されたということで、しかもそれが実際に届いた人からの問い合わせで発覚したということです。案内チラシを送付すべき対象者全体の数については記載がありませんが、誤ってリストに含めてしまった数が約24万人、そのうち既に発送してしまっている数が17万人と書かれていました。かなり多いですね。発表時点では案内チラシの発送業務を一時中断しているとのことです。

事故の発生原因としては、住民基本台帳から対象者を抽出するプログラムの仕様の不備(仕様バグ)と書かれています。そもそも今回の案内チラシを送付する対象者のリストの作成を、地方公共団体情報システム機構(J-LIS)に委託していたそうなのですが(その時点で驚きましたが)、そのためのプログラムをおそらく今回の事業のためにJ-LISが作成したのだと思われます。

ここから導き出せる一般的な根本原因としては、東京都福祉局の職員がJ-LISに伝えた抽出条件に誤りがあった(あるいは伝え方が悪かった)か、東京都はきちんと伝えたんだけれどもJ-LISが解釈を誤ったかのどちらかなんですね。今回は「仕様の不備」と明記されているので、おそらく見落としていた条件があったということなのでしょう。どちらにより多くの原因があるかと言えば、条件を伝えた東京都側だということになりそうです。

仮に条件を見落としていたとしても、納品されたリストを検査して、住民の属性ごとに何件かピックアップしてチェックを行うようなことをすれば、もしかしたら実際に発送してしまう前に気付くことができたかもしれません。送料だけでも1千万円以上を無駄にしてしまったわけですから、チェックを怠ったダメージは大きいですよね。


※ この記事は、先日公開した以下の音声コンテンツを基に編集したものです。


それにしても、この018サポートの申請手続きですが、私も実際に申請しましたけれども、あまりに酷くて今回はむしろそのことを強く訴えたいです。郵送されてきた案内チラシには、一緒に「オンライン申請ガイド」というものが封入されておりまして、そこには「スマホでカンタン!」というキャッチコピーが書かれているのですが、全然簡単ではなかったという落ちです。

例えば、マイナンバーカードがある人はマイナンバーカードを読み取って本人認証と個人情報の自動連携が行われるのですが、それなのに申請システムを利用するためにIDとパスワードを取らせるという仕組みで、マイナンバーカードを持っている人はマイナンバーカードでログインできるようにしなきゃダメだろうとまず思います。

それから、対象者の属性をコード(記番号)で入力させるという、いかにも役所らしい発想が最高に頭に来ました。コードなんて役所で決めている体系なので住民は知らないわけですよ。じゃあどうやって確認するのかというと、コードを確認するための別のシステムがあって、質問に答えていくと最後にコードが分かるという仕組みです。コードを判断するための設問は申請システムで入力した情報も含まれているので、それだったらコードを書かせるのではなくて、申請システムの中で必要な情報だけ入力させてコードは裏で設定すべきだと思います。

その前に、この案内チラシは保護者ではなくて子供宛に来るんですよ。しかも申請書に名前が印字されているとかではなく、単なるチラシしか封入されていないので、子供が複数いる家庭には全く同じものが子供の人数分来るという、この時点で大変遺憾な気分になりました。

こういう行政関係の申請は個別にシステムを組むのではなくて、組んでもいいんですが少なくとも入り口はマイナポータルにして、銀行口座もわざわざ口座情報を入力させるような無駄は省いていただきたいと切に願います。


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