大勢で同じ問いを共有し、議論を深めた二日間

昨日と本日の二日間、小田原(小田原市民会館)にてJSDG第12回全国大会が開催され、参加してきました。全国大会というのは毎年開催されている文字通り全国規模のイベントで、一泊二日で行われるのが通例です。ちなみに昨年は岡山の玉野というところで開催されました。

今年のテーマは「繋(つな)ぐ」。基調講演はオリンパス株式会社 コーポレートセンター IT本部長の北村正仁さん。「グローバル化時代における日本の『IT現場力』を再考する」というタイトルで、事業環境の変化と、その変化に対する自社の取組みについてお話しをされました。単に事例の紹介ということだけでなく、どういった考え方で取り組んだかという抽象化されたエッセンスについても喩えを用いてお話しくださり、後の時間でも頻繁に引用されるほど分かりやすく有益なご講演でした。特にラーメンやカレーが既に日本食であるという例を挙げ、「鎖国か開国かの二者択一ではなく、日本流にアレンジしていけばいい」というコメントはどこかタイムリーでもあり、なるほどと思わされました。北村さんは上級シスアドの資格をお持ちだという点も、JSDGのメンバーにとっては親しみを感じられて良かったですね。

その後は会員の発表が2コマあり、恒例のリレースピーチが行われました。リレースピーチというのは、一人1分間の持ち時間で、参加している一人一人が全員の前で話すというものです。今回は70人弱参加されていましたので、一人1分とはいえ60分以上を費やすコンテンツです。普段お目にかかれない方の近況を伺うことができ、その後の懇親会で話すネタを収集する場でもあります。懇親会は研修会場近くの「万葉の湯」で行われました。料理もお酒も美味しく、初めてお会いする方や久しぶりにお目にかかった方ともお話しをすることができ、また、日ごろ抱えている課題のヒントをたくさんいただくことができて大変有意義な時間でした。そして二次会へ。ここでもさらにディープな話題について情報交換を行いました。本当はもっと話していたかったのですが、宿の門限もあり、私はそこまでで休むことにしました。

二日目はワールドカフェで意見交換を行いました。私はワールドカフェは3回目なのですが、テーブル数が13と、これまでにない規模でした。問いは「10年後につなぐために、今、シスアドは何をすべきか?」というもので、開催に先立って午前中には、このワールドカフェのための共通の土台となるセッションがありました。そのセッションを聴いた時点では、与えられたこのテーマはふさわしいなと思えたのですが、いざダイアログを始めてみるとこれがなかなかとっかかりがないのです。極端な例では「何もしない」なんていう意見もありましたね。(シスアドならどんな状況に陥っても成果を出すからという前向きな意味でしょう。)

私がいたテーブルでは、10年前どうだったっけという振り返りと、10年後どうなっているだろうかという予測についてはそこそこ意見が出てくるのですが、そもそもの問い「何をすべきか」になると話がストップしてしまう。ワールドカフェは収束ではなく発散の手法なのでやむを得ないのかもしれませんが、そもそもの問いについての議論が掘り下げられなかったのが心残りでした。

その中で私が得た気付きは何だったか、改めて振り返ってみました。

  • 最初はふさわしいと思えた問いでも、考えを深めようとした時に深められなかった場合は、問いがふさわしくない可能性がある。
  • 本来話さなければならない話題がとっつきにくい場合、自然と話しやすい話題に逸れてしまう。(水は高いところから低いところに流れる、の応用)
  • その場合、逸れた話題を軌道修正しても、問い(前提)を見直さない限りはまた直ぐに逸れてしまう。
  • 明記されていないことは行間を読む(推測する)のではなく、確認すべきである。

また、私自身のシスアドに対する考えですが、シスアドは今後、ビジネスやITの環境の変化に対応して立ち位置も役割も変わっていくんだろうと思います。ただ、その時、その立場・役割の人(人材像)をシスアドと呼ぶのが果たして適切なのだろうかという疑問も持っています。

最後は幹事長の挨拶で締め括られました。来年もこのような充実した大会が開催できるといいですね。


第3回・炎上PJから学ぶセミナー開催報告

昨日、9月30日(金)に「第3回 炎上PJから学ぶセミナー」を開催しました。会場は大阪中央公会堂です。レトロでとても趣のある建物でした。前回も雨がちでしたが、今回もお昼前から雨という天候でした。

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WBSは各自で作りやすい方法を編み出すのがコツです

このセミナーは京都にある株式会社マネジメント総研と共同で開催しております。今回は2部構成で、午前と午後と別々の内容を実施しました。午後に参加された方は午前も参加されていたため、自己紹介は午前の冒頭にアイスブレイクとして行いました。

まずは第1部。プロジェクトマネジメントではよく利用されるWBSというフレームワークの作り方と、その活用の仕方について学ぶプログラムです。まずは用意したシナリオの読み合わせを行い、WBSについての説明を行った後「皆さんだったらどうしますか」という問いかけをして、実際にWBSを作っていただきました。

実際の現場では作って終わりになってしまいがちなWBS。それをいかに活用するか、またいかに活用しやすいWBSを作るかということについて講師、参加者それぞれの実体験を共有しました。

続いて第2部。今回はロールプレイングといって、ある役割になりきって演技をしてもらうというものですが、最初に炎上したシナリオを読み合わせ、参加者にペアになってもらって、それぞれ設定に従ってシナリオの登場人物になりきって会話をしていただきました。

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演習とはいえ議論は真剣です

準備段階では、時間が持つのか、はたしてどうなるのかという心配もありましたが、実際にやってみると予想以上に参加者の方が積極的に取り組んで下さり、大変盛り上がりました。ロールプレイング中も少し議論を聴かせていただきましたが、私たちが想定していないような面白い展開に至ったペアも。感想を伺うと「相手の心がどういうことになっているかわかった」「人に押されると弱い自分を再認識した」など、なかなか好評でした。

次回の「炎上PJから学ぶセミナー」は11月18日(金)に東京(浜松町)で開催します。いずれもサイトやFacebookなどでお知らせいたします。今後ともよろしくお願いいたします。

第2回・炎上PJから学ぶセミナー開催報告

昨日、29日(金)に「第2回 炎上PJから学ぶセミナー」を開催しました。会場は新宿三丁目貸し会議室(ルーム702-A)です。当日は雨が降ったり止んだりの天候でしたが、新宿の地下街から入れる会場なのでとても助かりました。

このセミナーは京都にある株式会社マネジメント総研と共同で開催しております。まずはアイスブレイクとして参加者の皆様に自己紹介をしていただき、その際に「このセミナーで何を学んで帰りたいか」を一言述べていただきました。参加者の方々がそれぞれの課題を抱えており、開催側として少しでもその期待に応えたいと思わされました。

シナリオを読み込みながら議論をしていきます

シナリオを読み込みながら議論をしていきます

本編の進行は、最初に、用意した炎上PJを題材としたシナリオを読み合わせ、次にその炎上シナリオのある時点においてプロジェクトを着地――すなわち「消火」するというテーマで議論をします。グループに分かれて行いましたので、議論をまとめた結果について、グループごとに発表し合います。同様の段取りをシナリオにおいてどうしたら炎上させない――すなわち「防火」することができるかというテーマでも行いました。

このセミナーの特徴としては、講義形式ではなく、演習形式であるということ。具体的には一つのテーマを共有してグループディスカッションを行います。ですので同じテーマで議論をしたとしても参加者の顔ぶれによって展開が異なってきます。グループでの議論も白熱していましたが、発表の時間も活気がありました。中には発表に対して鋭い質問をされる参加者も。普段接しない考え方に触れたことで刺激になった参加者が多かったようです。

別のグループの発表を聴くときも真剣です

別のグループの発表を聴くときも真剣です

参加者の皆様が議論されているときは、私はそれぞれのグループを回らせていただきましたが、議論の進め方やシナリオの読み込み方など私もたくさん勉強されられました。懇親会でも「また参加したいのだがテーマは毎回違うのか」といったご質問を下さる方もいて、こちらとしても気が引き締まる思いがしました。

次回の「炎上PJから学ぶセミナー」は9月30日(金)に大阪で開催します。次の東京での開催は11月下旬の予定です。いずれもサイトやFacebookなどでお知らせいたします。今後ともよろしくお願いいたします。


マネジメント総研の開催報告を読む

第1回・炎上PJから学ぶセミナー開催報告

先週20日の金曜日に「炎上プロジェクトから学ぶセミナー プロジェクトマネジメントの3つのポイント」の第1回を無事に開催しました。会場は京都駅前にあるキャンパスプラザ京都。京都にある大学関係者向けの施設なのですが、一般も利用できるとても便利な施設です。弊社と株式会社マネジメント総研と共同で企画し開催しました。

このセミナーはいわゆる講義形式の座学ではなく、参加者同士で議論をしながら進めていく演習形式をとっています。それは、何かを身に着けるには実際にやってみることが近道だと、私たちが考えているからです。

私もこの日だけは現在ご支援しているプロジェクトを離れて京都までやってきました。東京の朝はすでに暑かったですが、京都も真昼は暑かったですね。マネジメント総研の小山さんとランチを取り、そして会場に入って軽く事前の打ち合わせ。参加者の方が現れるまでは少し緊張しましたが、共催ということで不安も半分になりますね。

全体の進行としては、まず私たちが用意した炎上シナリオの読み合わせを行い、これから議論を進めるための土台を作りました。そして前半は炎上プロジェクトの着地方法を考えるための問いを提示し、それについて議論していただきました。後半は炎上プロジェクトに陥らない方法を考えるための問いを提示して、同様に議論していただきました。概ね私たちが想定していたような議論の方向に進んだ感じでした。

初めての試みで課題も様々見えてきましたが、参加者の方からは「他の会社の方々(自分とは違う役割の方々)の思いを聞くことができて良かった」「他社・違った役割の方達と、演習を通じてディスカッションする事により、理解していた認識が、より具体化した」といった声が寄せられました。

このセミナーはシリーズとしてしばらくは続けていくつもりですので、詳細が決まりましたらサイト上でご案内いたします。今のところ7月に東京で開催の予定です。


友人の会社設立イベントに参加してきました

昨日はゴールデンウィークの初日でしたが、JSDGのメンバーでもある小山俊一さんがこの4月1日に会社を設立し、その記念イベントがキャンパスプラザ京都にて開催されました。私も末席に加えていただきまして、京都まで行ってきました。

会社設立イベントは2部構成となっておりまして、第1部は先日もJSDGの研修会で実施したワールドカフェ方式による読書会を25名前後で行いました。第2部は同じキャンパスプラザ京都のホールにて立食式のパーティーでした。小山さん本人もおっしゃっていたのですが、結婚披露宴を意識した構成の催しで、参加者はなんと50名ほどでした。

私は個人でずっと活動してきた延長で法人化したので、設立記念イベントをやろうなんて全く考えたこともなかったのですが、こういう節目のイベントも良いものだなぁと思いました。

小山さんとは今後もセミナーを一緒に開催したりと長くお付き合いすることになると思いますが、前途を祝福できたことをとても喜ばしく思っています。私が会社を設立したときに周りの方々から「おめでとう」を言われて違和感を感じていたのですが、やっぱり「おめでとう」が相応しいのかもしれません。


株式会社マネジメント総研
http://management-souken.co.jp/

巷で話題のワールドカフェを体験!

先週の土曜日に京都にてJSDG関西ミニ研修会が開催され、参加してきました。内容は「体感!ワールドカフェ ~テーマはプレゼンテーション~」ということで最近良く耳にするワールドカフェを体験してみました。

ワールドカフェというのはネットで調べてもいまいち判然としない。「情報共有の手法」という紹介も見受けられますが、単なる情報共有を目的とするものではありません。また、「カフェ的空間を意図的に作り出す」という表現もありますが、その「カフェ的空間」がよく分かりませんよね。私の理解では、議長がいて何かを決議するというのではなく、(緩めの)ルールに沿ってあるテーマについて積極的に話し合い、他の人の考えに耳を傾けて共感と気付きを得る手法です。

ミーティングの進め方についてもサイトによっては曖昧な記述しかないのですが、今回は次のように進めました。集まったのは進行役を含めて13名。そこで3人ずつ4テーブルに分かれて着席し、アイスブレーク。プレゼンテーションに関係した「問い」を個人でまず考えます。次にグループ内で話し合い、テーブルで1つの「問い」に絞ります。そしてテーブルで1つずつ出された問いに対して全員が投票し、最終的に1つの「問い」に絞りました。今回選ばれた問いは「攻撃的な質問者への対応方法は?」というものでした。なかなか興味深い問いですよね。

そしてその「問い」についてテーブルごとにまず自由にワイガヤをやります。20分程度話し合ったら1人がホストとしてテーブルに残り、後の2人は別のテーブルに移動して第2ラウンド。同様に20分程度話し合ったら元居たテーブルに戻って第3ラウンド。最後は個々が得た「気付き」を全体で順番に発表して終わりました。5人としか話していないのに、まるで全員と話したかのような感覚になるのが面白いです。参加人数によってはラウンド数が増減するそうです。

ちなみに、会場となったのは「都野菜 鹿ケ谷(ししがたに)」という野菜をメインにした居酒屋さん。昼間は営業していないので2階のお座敷を借り切って使わせていただきました。居酒屋といったら怒られそうですが、落ち着きのある素敵な空間です。不思議なことに看板を出していないお店なのです。そして終了後はそのまま懇親会に突入し、楽しいひと時を過ごしました。


都野菜 鹿ケ谷
http://shishigatani.net/


VE = アイデアを育て価値を高める手法

今月の3日・4日の二日間、VE基礎講座のセミナーを受けてきました。VEというのは、みなさんあまり馴染みがないかもしれませんが、バリュー・エンジニアリング(Value Engineering)のことで、製品やサービスを改善して価値を向上させる体系的な考え方の事です。私自身もVEの存在は去年知ったばかりなのですが、すでにVEリーダーの資格を持っていらっしゃる方の話を伺ったり、日本VE協会のサイトで調べていくうちに興味を持ちました。VEの体系は決して小規模ではないのですが、セミナーがワークショップ(グループワーク)形式だったのでとても理解しやすかったです。

製品やサービスの改善と聞くと、一般的にはコストの削減をまずイメージする方が多いと思いますが、VEの場合は単にコストを削減するということだけではなく「機能」をも向上させることで製品やサービスの価値を向上していこうというアプローチなのです。以下、私が感心した内容についていくつか述べたいと思います。

機能を定義する際のシンプルさ

「○○を○○する」という形で機能を表現します。その上で、ある機能にとって手段となる機能を下位に、逆にある機能にとって目的となる機能を上位になるようにツリー上に整理して行きます。なので自然とシンプルに分析されます。

機能へのコスト配賦

現状のコスト分析をする際に、単なる原価計算ではなく、定義し整理した機能ごとにコストを配賦します。そのことによってどの部品にではなく、「どの機能にいくらかかっているか」ということが見えてきます。

一見ダメと思えるアイデアを育てる

職場でブレーンストーミングなどを使ってアイデア出しをする場合、他人の意見を否定するというのはもっての外ですが、それでもアイデアに欠点があると分かると即座に棄却してしまいがちです。しかし、VEではアイデアに欠点があるのが当たり前と捉え、それを克服するというアプローチが手順に組み込まれているのです。これは強いと思いました。

如何でしょうか。VEはいろいろなことに応用ができそうな考え方です。元々は調達や製造段階で利用されてきたようですが、実際には間接部門やサービスにも応用されているとのことです。うまく取り入れれば元気が無い会社の活性化にもつながりますね。今回のセミナーでは製品が題材でしたが、今度はサービスをテーマとしたセミナーも受けてみたいと思いました。


社団法人日本バリューエンジニアリング協会
http://www.sjve.org/

先輩への恩返しは後輩へ

昨日、出身大学の学科同窓会があり、参加してきました。恩師とも久しぶりに会って話しをしました。恥ずかしながら、卒業して10年余り、こういったOB/OG向けのイベントに参加したのは初めてです。もちろん個人的には何度か大学を訪れたことはありますが。

今までこういったイベントに参加してこなかったのは、もちろん案内が来なかったという理由もありますが、案内が来ないのは連絡先をアップデートしていなかったからでもあり、言ってみれば自分がその方面に対して閉じていたからに他なりません。なぜ閉じていたかと言えば、大学に対して、いや大学時代の自分に対してネガティブなイメージを抱いてきたからでしょう。

しかし今回、他に誰が参加するのか分からなかったにも拘らず思い切って参加した理由は、上述した感情が単なる思い込みかもしれないし、時間も経っているので違った目でもう一度大学時代を見つめ直すことができるのではないか…というようなことを考えたからです。そして、上述した理由で大学時代にしっかりとした人脈を築いて来なかったことを少し悔いており、時間は経ってしまってけれどももし活かせる人脈があるのならそれを掘り起こしたいと思ったからです。

さて、その同窓会には100人余りの方々が集まっていましたが、残念ながら私の同期は一人も来ていませんでした。かろうじて卒業年が同じOBには二人会いました。(余談ですがきっちり4年で卒業していない場合って『同期』の範囲が曖昧ですね)

参加者のリスト(名前と卒業年のみの一覧)が配布されたのですが90年代半ば~2000年代半ばにかけて卒業した人が特に少ない。ちょうど働き盛りの年代でもあるのですが、穿った見方をするとちょうど就職氷河期とも重なっており、表現は良くないかもしれませんが就職に関して大学を当てにできなかったという思いと参加率の低さがリンクしているのではないかと感じてしまいました。

しかし、だからこそこういった場が必要であり、活かせるのなら活かすべきだと思うようになってきました。同窓会に参加してみて、私自身もいかに多くの先輩たちに支えられていたのかということを改めて認識させられました。今はメディアを通してしか学生の様子は知りえませんけれど、再び就職氷河期到来のようです。なので今度は私が後輩たちのために何かできることがないか考えていきたいと思いました。

「すてきな言葉と出会う祭典」

今日は文化の日。東京国際フォーラムの地下展示室にて『すてきな言葉と出会う祭典-「言葉の力」を東京から-』というイベントが行われました。

そのイベントは『「言葉の力」再生プロジェクト』という東京都副知事の猪瀬直樹さんがリーダーを務めるチームが主催していて、正直なところ猪瀬さん目当てで参加したのですが、この「言葉」というテーマ自体にも普段から私は考えるところが多く、大変興味を持っておりました。

私は理系の学部出身ですし、言語について以前は苦手意識を持っていましたが、社会に出てからは言葉の大切さを痛感するようになりました。確かにSE・プログラマという職業には理系の考え方やセンスが必須です。ですが、それ以上に言語の能力(国語のスキル)は無くてはならないと考えています。

例えばシステム開発の現場では、仕様書などのドキュメント類がコミュニケーションの手段であり、その文章表現が稚拙であるために現場が大混乱に陥ることが残念ながら起こるのです。システム開発に限らず、作業の指示や依頼、あるいは引継ぎといったことがどんな職場でも日常的に行われていると思います。言語の能力が乏しければ、表現すべきことが表現できずに不正確な内容を伝えてしまい、業務に支障を来たすかもしれません。

ではどうやってその言語の能力を身に着ければ良いのか。それが私が聴いたシンポジウムのテーマのひとつでした。挙がった意見の中でなるほどと感じたのは、言語にも空手やテニスなどスポーツのように【型】がある、だからまずはその型をトレーニングで身に着ける必要があるということ。それに対して私が思ったのは、身に着くまでトレーニングすることが重要ということです。残念ながら学校の授業では紹介する程度で終わってしまいます。

最初から最後までは聴けなかったのですが、私も自身の言語能力を一度棚卸する必要があるなと感じつつ会場を後にしました。猪瀬さんのブログにはさらに写真も交えてイベントの様子が伝えられています。

尚、会場にはステージ以外に新聞社や出版社その他の言葉に関連する企業のブースが出ておりまして、ぐるっと見て回っていたら、会社員時代の取引先の方にお遭いしました。当時はお世話になりましたがその後やり取りは無く、今日偶然の再会。何か導かれてこのイベントに参加したような気がしてなりませんでした。